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中西 利典*; 小松 哲也; 小形 学; 川村 淳; 安江 健一*
月刊地球「基礎データから考える第四紀学の新展開-I」号外No.71, p.148 - 155, 2022/02
熊野川中流部の穿入蛇行跡において採取したボーリングコア試料を観察・解析して同段丘地形の形成過程を検討した。古い段丘地形ほど現在の河床面よりも高い位置に分布すると想定したが、環流旧河谷の地下には支流成の土石流堆積物が厚く分布する場合があるため、同地表面を隆起・侵食の指標とする際には注意が必要である。
山口 正秋; 加藤 智子; 鈴木 祐二*; 牧野 仁史
原子力バックエンド研究(CD-ROM), 27(2), p.72 - 82, 2020/12
地層処分の性能評価における隆起・侵食の影響の検討では、地下水流動や処分場から地表への核種移行経路などへの影響の観点から、地形と処分場深度の変化が重要となる。本研究では、初期の地形や隆起速度等の条件や評価期間の想定に対して地形と処分場深度の変化を効率的に評価するためのツール(地形・処分場深度変遷解析ツール)を、簡易的な地形発達シミュレーションモデルを組み込んだArcGISのモデルとして構築した。このような評価は、性能評価における隆起・侵食に起因する地下水流動や地表への核種移行経路への影響の評価に向けて、条件や評価期間に応じた地形や深度の変化についての定量的情報を提示するとともに、性能評価の実施においてどの影響に重点をおくことが効果的・効率的かなどを判断するためにも重要となる。
島田 太郎; 武田 聖司; 向井 雅之; 宗像 雅広; 田中 忠夫
Materials Research Society Symposium Proceedings, Vol.1744, p.229 - 234, 2015/04
隆起・侵食を伴う地層処分サイトを対象として、地質構造の長期的変化を考慮して解析する地下水流動と、水質変化を考慮して解析する人工バリア長期変遷の結果に基づいて、地質,水質,距離などが時間的・空間的に変化する移行経路上の核種移行を解析する総合的な安全評価手法を整備した。また、本手法により隆起・侵食を伴う仮想的な堆積岩サイトに対してケース解析を行った。その結果、一様隆起と侵食の組み合わせの場合に、対地深度が減少して地下水流速が増加するため、その地質及び水理構造の変化が核種移行に大きな影響をもたらすことがわかった。また、侵食がない場合には、動水勾配が上昇することによって地下水流速が増加するため、一様隆起よりも傾動隆起のほうが核種移行フラックスが大きくなった。処分施設設置のための事前調査においては、隆起・侵食を含む長期的な地質構造、水理条件、地下水の涵養及び流出域の特性を十分に調査し、処分場の適切な位置、深度、レイアウト設計に反映する必要がある。
牧野 仁史; 加藤 藤孝; 宮原 要
JNC TN8400 2000-033, 74 Pages, 2000/11
天然現象は地質環境の長期安定性に擾乱を与える可能性のある要因の一つであり、その発生の時期、頻度及び影響の形態などに関する不確実性を考慮することが必要であるため、将来において地層処分システムが天然現象の影響を被るものとあえて想定することにより、天然現象が地層処分システムの性能に与える影響を評価し、サイト選定に際して留意すべき天然現象とその影響について把握しておくことは重要である。このため、本検討では、地質環境の長期安定性に影響を与える可能性のある天然現象として、各国の例やわが国の特徴を踏まえた検討の結果抽出された、(1)隆起・沈降・侵食、(2)気候・海水準変動、(3)地震・断層活動、(4)火山・火成活動、の各天然現象について、それらの発生をあえて想定するとともに、それらが地層処分システムの性能に与える特徴的な影響に焦点をあてた検討を行った。その結果、変動シナリオに関しては、断層活動により地下水流れ及び核種移行の卓越的な経路となる断層が廃棄体を横切ることを想定した場合において、断層活動発生時期や断層内地下水流量の値によっては、最大線量が諸外国で提案されている安全基準やわが国の自然放射線レベルと同レベルとなる可能性のあることが示されたが、その他の天然現象については、最大線量が諸外国で提案されている安全基準を下回る結果が得られた。また、接近シナリオに関しては、地層処分起源の核種量ないしは核種フラックスが天然のものと比較可能なレベルである可能性が示唆された。これらの結果は、サイト選定に際して留意すべき天然現象とその影響についての情報として用いることができると考えられる。しかしながら、比較的簡単なモデル化を行うとともに、保守的な想定(条件)を組合せた評価の結果であるため、天然現象の影響が絶対値として大きいかどうかを直接的に判断するための情報として用いることには注意が必要である。
奥田 勝三*; 武部 愼一; 坂本 義昭; 萩原 茂*; 小川 弘道
JAERI-Review 99-023, p.100 - 0, 1999/10
低レベル放射性廃棄物の埋設処分にかかわる概念構築の一環として、関東北部から東北地方にわたるおもに太平洋側(青森県下北半島東部~茨城県東海・那珂湊地域)に分布する新第三紀堆積岩を対象に、地質特性の調査・整理を既存文献によって行った。A.下北半島東部、B.三戸-八戸、C.仙台、D.常磐炭田、E.東海・那珂湊の各堆積区に分布する地層は、奥羽脊梁山脈から東方ほど非グリーンタフ相として、地層の褶曲や変形が少なく安定した構造を示し、火成活動に伴う影響が少ない特徴を有している。各堆積区の地質構造タイプと堆積相の関係は、次のようにまとめられる。A.下北半島:緩傾斜ドーム型、二層構成層、B.三戸-八戸:急傾斜ドーム型、多層構成層、C.仙台:逆断層隆起型、多層構成層、一部は一層構成層、D.常磐炭田北部:逆断層隆起型、下位は多層構成層・上位は二層ないし一層構成層、常磐炭田中部:基盤断裂型、二層構成層、常磐炭田南部:盆状型、二層構成相、E.東海・那珂湊:基盤沈降型、一層構成層。このうち、基盤沈降型と緩傾斜ドーム型の堆積区には、安定した泥質岩の厚層が形成されている。これら地層は、埋設処分層としての適性を検討する意義を有するものと考えられる。地下水は、埋設処分上重要な役割を有しており、各区での流動の特徴を想定した。今後、地盤の物性値(透水係数・一軸圧縮強さ等)を求めるとともに、同様な調査を、日本列島全域及び先新第三紀層も対象として行う必要があると考えられる。
増田 純男; 梅木 博之; 清水 和彦; 宮原 要; 内藤 守正; 長谷川 宏; 牧野 仁史
JNC TN1400 99-007, 497 Pages, 1999/04
核燃料サイクル開発機構(以下,サイクル機構)では,平成9年4月に公表された原子力委員会原子力バックエンド対策専門部会報告書「高レベル放射性廃棄物の地層処分研究開発等の今後の進め方について」(以下,専門部会報告書)に従って,関連する研究機関等の協力を得つつ,地層処分に関わる研究開発を様々な分野において進めてきている。研究開発の全体目標は「わが国における地層処分の技術的信頼性」を示すことにあり,その成果を技術報告書(以下,第2次取りまとめ)として国に提出しその評価を仰ぐこととされている。第2次取りまとめは,平成4年に公表された第l次取りまとめの成果を受けて処分の技術的信頼性を示し,国による評価を経て,処分事業を進める上での処分予定地の選定,安全基準の策定の技術的拠り所を与えるとともに,2000年以降の研究開発の具体化にとって極めて重要なものと位置づけられているものである。平成10年9月には,地層処分に関連する領域の専門家の方々から研究開発の内容や進捗状況について忌憚のない指摘や議論を頂くため,専門部会報告書に示された個々の課題に対する研究開発の成果を中間的に整理した第2次取りまとめ第lドラフトを,専門部会に報告,公表した。第1ドラフトを素材とした指摘や議論およびそれ以降の研究開発の進捗を踏まえて,このたび第2ドラフトをまとめた。第2ドラフトは総論レポートと専門部会報告書に示された主要な研究開発分野である「地質環境条件の調査研究」「処分技術の研究開発」及び「性能評価研究」のそれぞれに対応する3つの分冊から構成されている。本資料は,このうちの第2ドラフト分冊l「地質環境条件の調査研究」であり,総論レポートにおけるわが国の地質環境に関する記述内容の詳細な技術的根拠を与えるものである。第2ドラフトの総論レポートと3つの分冊については,第1ドラフト同様,地層処分に関連する領域の専門家の方々から研究開発の内容や進捗状況について忌憚のない指摘や議論を頂くとともに,英語版を作成し国際的なレビューを受ける予定である。これらのレビューの結果も踏まえ,総論レポートと3つの分冊を2000年前までに完成させることとしている。また,あわせて第2次取りまとめの理解の一助とするため,地層処分に関する基本的な事項や知見に関する情報(例えば,地層処分の発想,評価の時間枠等)を提供することを目的として,
柳田 誠*
PNC TJ7692 97-001, 120 Pages, 1997/03
長期の隆起や侵食による地形変化は、地質環境の物理的・化学的特性を変化させる可能性がある。地質環境の変化の範囲や程度を予測するためには、隆起や侵食の範囲と量を見積もる必要がある。内陸部における隆起や侵食の速度に関する解析精度の向上を図るため、昨年度に引き続きデータ収集と解析手法の検討を行った。調査内容は、(1)現河床の礫径分布と河床勾配・洪水水位との関係を明らかにすることと、(2)地形面の侵食速度と地質・気候・地形とに関係を明らかにすることである。礫径調査は5河川(千曲川、安倍川、富士川、酒匂川水系、相模川水系)において行った。その結果、安倍川では礫径と勾配の決定係数は0.86を示し、昨年度の5河川を併せても礫径と勾配は決定係数0.79を示す。一方、礫径と水位の相関は全ての河川で低く、礫径は主に勾配によって支配されていると考えられている。しかし精度としては、20cmの礫から推定される勾配と60cmの礫から推定される勾配が同じ、という程度でしかない。侵食量調査は、地質、気候、地形の異なる8地域(日高、八甲田、八戸、白河、碓井峠、松本、乗鞍岳、竹田)において行った。その結果、火砕流、熔岩、段丘面(扇状地面)の順に侵食速度が小さくなることが明らかになった。解析するにはサンプル数が不十分であるが、火砕流が最も速い理由は地質的なもろさに起因するものと考えられる。砂礫層からなる段丘面においては侵食基準面との比高が、火砕流からなる地形面においては地形面の位置が、それぞれの地形面の侵食速度を規定しており、地形面の勾配や降水量は侵食速度に重要な影響力を持たない。溶岩については年代未詳なものが多く不明であった。侵食速度が最も大きい竹田地域(Aso-4火砕流堆積面)の過去9万年間における平均値は0.66mm/yであり、侵食速度が最も小さい松本地域(扇状地面,0.018mm/y)の約37倍の値を示した。侵食型式が異なることに起因する侵食速度の違いである可能性も考えられ、侵食型式の研究が必要と思われる。
not registered
PNC TJ7454 97-002, 79 Pages, 1997/03
地下水の流れや分布などの地質環境を長期間にわたって予測するためには、隆起・沈降量を考慮した将来の地形や地質構造に関するデータが必要である。隆起・沈降量の予測には、変動が何時から開始し、どのような速度で継続しているかを解明する必要がある。本調査では、各地の隆起・沈降運動の開始時期や変動速度の開析に必要な段丘の形成年代を求めるため、段丘を覆う堆積物の年代測定を行った。今年度は、特に年代値データが不足している関東、九州、東北地方を対象に、計23試料の年代測定を行った。
高野 豊治*; 布施 圭介*; 斎藤 晃*; 安田 賢哉*
PNC TJ7454 97-001, 536 Pages, 1997/03
本報告書は、日本列島における地質環境の長期安定性に関する研究の一環として、日本列島の各地の第四系に関するデータを取りまとめたものである。本年度は、下北、三陸北部、佐渡、常磐、湘南、阪神西部、紀伊半島南部、高地・室戸、日向の9地域を体象として1/5万段丘区分図を作成し、平野周辺の段丘や第四紀層の分布や年代を整理し、第四紀における隆起・沈降量を算定した。また、酸素同位体ステージ1、5eおよびデータが豊富な場合にはステージ7以前の時期を対象にして、隆起・沈降量に読み替え可能な古海面高度の等値線図(1/20万)を作成した。その結果、以下のことが明らかとなった。1)大磯丘陵や室戸岬などの変動の激しい一部の地域を除いて、垂直変動量は1m/千年以下である。2)過去12万年間よりも最近6,000年間の方が変動速度が大きい3)変動基準の年代や酸素同位体編年に対象した海水準変動曲線に不確かさがある。なお、隆起・沈降運動の開始時期や変動速度を性格に把握するため、年代測定や分析用に100試料を採取した。
高野 豊治*; 佐々木 穣*; 布施 圭介*; 斉藤 晃*; 佐藤 好一*
PNC TJ1454 96-001, 295 Pages, 1996/03
近年、大地震に由来する津波堆積物が世界各地で報告されるようになり、大地震の発生時期を推定する有力な方法となりつつある。海成完新統には津波堆積物が多数保存されている可能性が高く、大地震の再来間隔の解明や、それに伴う地殻変動の将来予測に重要な手がかりを与えると考えられる。本研究では大地震により離水した完新世海成段丘(沼段丘)が分布する千葉県館山市周辺で、大地震に由来する津波堆積物を海成完新統(沼層)に見い出し、地殻変動の解析を行った。その結果、以下のことが明らかとなった。(1)沼層には、急激な流水によって海岸や海底から削剥された堆積物が再堆積したと考えられる砂礫層がある。このような砂礫層を形成するようなイベントが、約8,000y.B.P.1,600y.B.P.の間に少なくとも36回認められる。(2)36回のイベントのうち6回(6,2006,100y.B.P.、6,1006,000y.B.P.、約4,500y.B.P.、4,3004,200y.B.P.、約3,050y.B.P.、約2,800y.B.P.)は、南関東に分布するの完新世海成段丘の離水時期と一致する。それゆえ、これら6層準の砂礫層は、海成段丘を離水させた地震に伴う津波堆積物と解釈される。それ以外の砂礫層も津波堆積物である可能性が高いが、対応する海成段丘から知られていないことから、津波以外のストームなどに由来する可能性がある。(3)連続的なデータから推定される地殻変動は、隆起と沈殿が交互に繰り返す"地震性地殻変動"を示す。その最大隆起速度は内房側で3.34.4mm/y,外房側で5mm/yである。
大久保 博生*
PNC TJ1222 96-005, 66 Pages, 1996/03
本年度は、まず、稀頻度事象の核種移行への影響解析フレームの全体像を明らかにするため、一例として、火成活動シナリオに対する計算ケースの想定並びに試解析を実施した。また、地震・断層シナリオ及び隆起・侵食シナリオに対するインフルエンス・ダイヤグラム上の境界条件への反映プロセスの検討を行った。次に、地下水シナリオに対する稀頻度事象の影響の重要度評価を行うため、専門家の知見を反映するための一般的な評価項目の検討、及び火成活動シナリオに対する具体的な専門家判断の必要項目を例示した。最後に、既存のデータベースシステムとの結合性を考慮したシナリオ自動展開ツールのビジュアル化機能の追加、さらに、リスク評価やFEPの階層的情報活用への本ツールの適用性についての概略的検討を行った。
大久保 博生*
PNC TJ1222 96-004, 228 Pages, 1996/03
本年度は、まず、稀頻度事象の核種移行への影響解析フレームの全体像を明らかにするため、一例として、火成活動シナリオに対する計算ケースの想定並びに試解析を実施した。また、地震・断層シナリオ及び隆起・侵食シナリオに対するインフルエンス・ダイヤグラム上の境界条件への反映プロセスの検討を行った。次に、地下水シナリオに対する稀頻度事象の影響の重要度評価を行うため、専門家の知見を反映するための一般的な評価項目の検討、及び火成活動シナリオに対する具体的な専門家判断の必要項目を例示した。最後に、既存のデータベースシステムとの結合性を考慮したシナリオ自動展開ツールのビジュアル化機能の追加、さらに、リスク評価やFEPの階層的情報活用への本ツールの適用性についての概略的検討を行った。
not registered
PNC TJ1308 95-003, 241 Pages, 1995/03
本研究は、断層の変位量調査手法の確立を目的に実施したもので、その内容は、平成6年10月に兵庫県南部地震の震源付近で実施した音波探査と同一の条件及び測線で地震発生後の音波探査を行い、断層活動前後の変位量の比較検討を行うことである。また、断層活動が周辺の地質環境に与える影響調査の事例研究を目的として、地震断層の地表調査を実施した。音波探査の結果では、一部では変位している可能性を示す所も認められるが、局部的なものであり、兵庫県南部地震に伴う断層活動を示す明瞭な変化とは考えにくい。このため、神戸沖の海底には地震断層の存在する可能性は低いと考えられる。地震断層の地表調査では、地震断層は、野島断層とその延長部で9.5Km、野島蟇浦から南への分岐断層が1.5Km追跡できた。断層の形態は、杉型雁行する開口性の地割れが多く、直線状に認められる箇所は一部である。断層の水平変位は右横ずれを、垂直変位は南東側隆起を示す所が多い。なお、断層南東側の基盤岩類では変状の認められる所があり、地震断層に伴う副次的な破壊の可能性がある。また、地下水の湧出量や水位については、淡路島北部を中心に地震の前後で変化が認められる。
大久保 博生*
PNC TJ1222 94-002, 60 Pages, 1994/03
HLW地層処分の安全評価において、稀頻度事象を考慮した地下水シナリオ作成のため、まず、H3レポート(1) で扱っている地下水シナリオ基本ケースの(1)基本的考え方/前提条件、(2)モデル、(3)データ、(4)各現象に及ぼし得る要因、をリストアップし、各現象に係る状態量、必要とされるモデル的取り扱い法の見通しを概略的に把握・整理した。次に、動燃事業団殿設定の102種類の各FEPに対し、1.関連要素、2.定量的概念、3.他のFEPへの直接的な影響、を各種情報に基づき整理表として検討・作成し、地下水シナリオ基本ケースで既に扱われているFEPとそうでないものを明らかにした。また、基本ケースで扱われていないFEPのうち、特に、火成活動を起点とするシナリオを具体的に作成した。最後に、基本ケースの各モデルにおける定量的諸量(初期条件、境界条件、パラメータ等)を各FEPとの関連性を念頭に明確化し、また、各FEPを個別に扱い得る決定論並びに確率論的モデルをサーベイ・整理した。さらに、作成した火成活動起点シナリオに対する地下水シナリオ解析・評価上の取り扱い方の概略的検討を行った。
島田 太郎; 田窪 一也; 武田 聖司; 田中 忠夫
no journal, ,
地層処分の長期安全評価では、地質,水質,水理特性などのサイト状態や人工バリア特性の空間的・時間的変化を考慮する必要がある。そこで、人工バリア及び天然バリアに関する分配係数、拡散係数、間隙率、地下水流速、移行距離などの核種移行パラメータの時間的・空間的変化を評価に反映できる核種移行解析コードを開発し、人工バリア及び天然バリアの状態に応じて変化するパラメータをリンクさせた解析を試行した。本報では、仮想的な堆積岩サイトに処分施設を設定し、施設の設置位置やサイトの隆起・侵食を考慮した地下水流動・塩分濃度の解析から求めた施設から生物圏へ至る移行経路と距離、水質,流速の条件、ならびに人工バリアの長期変遷の解析から決定した核種移行パラメータを入力データとして、各バリアからの主要な放射性核種の移行フラックスを解析し、核種移行フラックスへの影響の大きい因子を整理した結果を報告する。
武田 聖司; 宗像 雅広; 滑川 麻紀; 酒井 隆太郎; 島田 太郎; 田中 忠夫
no journal, ,
地層処分の長期安全評価では、地震、隆起・侵食などの外的事象の発生が想定される場合に、外的事象によって処分サイト内の地質環境及び処分施設にもたらされる熱,水理,力学,化学的な特性の変化の程度を評価し、さらに、その特性変化が処分施設からの核種移行に与える影響を評価する必要がある。本報では、外的事象の発生による人工バリア及び天然バリアの特性変化と、核種移行解析に必要なパラメータをリンクさせた体系的な安全評価手法の全体像を示した。また、仮想的な堆積岩サイトに処分施設を設定したうえで、処分施設の設置位置やサイトの隆起・侵食の形態等をパラメータとした地下水流動・塩分濃度の感度解析を実施し、安全規制の観点から隆起・侵食に関係のある天然バリアの重要な調査要件について検討した結果を報告する。
山口 徹治
no journal, ,
環境安全研究ディビジョンの紹介に続き、炉内等廃棄物の中深度処分に関する安全規制の動向(ALARAの原則の適用等)を概説する。そして中深度処分を対象とする環境安全研究ディビジョンの研究(隆起・侵食及び海水準変動の影響評価手法、ベントナイト系人工バリアの長期変質現象のモデル化及びコード化等)について説明する。
島田 太郎; 打越 絵美子*; 高井 静霞; 武田 聖司
no journal, ,
放射性廃棄物を沿岸域に埋設処分する際、隆起・侵食や海水準変動による長期的な地形変化が、地下水流動場を変化させ、核種移行挙動を変動させる可能性がある。本報告では現在の地形をもとに将来の地形変化の不確実性を評価する一連の方法の枠組みを構築するとともに、原子力機構が開発している評価コードを用いて、沿岸集水域を対象に将来12.5万年後までの地形変化を評価した事例について紹介する。
坂本 道仁*; 若杉 圭一郎*; 樺沢 さつき; 山口 正秋
no journal, ,
地層処分の安全評価においての隆起・侵食による影響は、初期の地形や隆起速度、処分場の位置などにより異なる。本研究では隆起侵食速度のばらつきを考慮した処分場深度変遷の定量的評価を行うとともに、これに基づく核種移行解析を通じて隆起・侵食の安全評価への影響を検討した。
樺沢 さつき; 坂本 道仁*; 高橋 裕太; 山口 正秋
no journal, ,
隆起・侵食による地形と処分場深度の変遷が地層処分において核種移行に与える影響を把握し、それを核種移行解析に反映するための手法検討の一環として、地形・処分場深度の変遷解析と、地形変化を考慮した地下水流動解析、地下水流動と処分場深度の変化を考慮した処分場位置から地表への粒子追跡解析を実施した。